懐かしい感覚

時々、ふと部屋の中を見回して思うことがあります。
ずいぶん要らないモノに囲まれて生活しているなあ、と。
一番初めに気づいたのは、リュックを背負ってアジアの国々を旅をしていた頃。
当時は独身、笹塚の小さな台所と和式トイレ付き風呂ナシ6畳のアパート。
テレビはなく、カラーボックスの本棚には「地球の歩き方」が並び、押し入れには布団と掃除機。
殺風景な部屋でしたが、祖母に誂えてもらった和服があったのでタンスだけは立派、そのせいで部屋選びには常に苦労したのですが。(笑)
そんなささやかな生活であっても、リュック一つで済む旅を知ると「帰国したら全部捨てよう」と思うほど自分の部屋にはムダに物が多いと感じたのです。
着替えは現地調達で3枚、ティッシュの代わりに潰したトイレットペーパー。
英和と和英で一冊の小さな辞典、マグライトと予備の豆球、化粧品は日焼け止めだけ。
カメラとフィルムと日記帳、ミネラルウォーターは切らさずに。
ドミトリーで見知らぬ人と一緒に眠ることが多かったのでリュックは鍵付き、パスポートはコピーしクレジットカード、キャッシュと共に自作の隠しポケットに入れていました。
まだ携帯、PC、スマホなどもない時代でしたから、雨の日はカトマンズの古本屋で見つけた林芙美子さんの「放浪記」を読むのが新鮮でした。
あの頃を思えばモノに囲まれた今の生活は一見重い。
でもしがみついているモノは案外ないつもり、それとも失くしたら気づくのかな?
主人と猫たちと自炊生活を楽しんでいる今に感謝しています。