楽しんで生きる


末期がんを告白し挨拶に来た知人がいた。
こちらもショックだが、相手はもっとショックだったに違いない。
受け入れに時間を要し、恐らく色々な準備の合間に友人知人の挨拶に回ったようだ。
なぜか今でも時々私の夢の中に出て来る。
また、最後まで受け入れることができずに人生を終えた人もいた。
目に見えない砂時計がサラサラと落ちて行く。
私はその幻想を普段の生活の中に浮かべることがある。
若い頃に医師から前がん状態と診断されたからかもしれない。
「ではがん保険に加入した方がいいですか?」「ええ今のうちに」
ショックと開き直りとたまに焦りの中で万全を尽くしやりたいことをやり続けた。
おかげで私の人生は濃いものとなり、医師に心から感謝している。
悩み迷いつつも私はとても幸運で、常に今が一番幸せ。
でも昔のようにいつ死んでもいい、とは言えない。
ある意味で私も毎日、挨拶に回っている、但し笑顔で。