私、いい気になっていました

TS3W0774
私は調子の良い時、知らず知らずのうちに「いい気になっている」ようです。
そういう時期が終わってあとで振り返ると自分で気づくのですが、その瞬間にはわからないのです。
幸か不幸か、昔から食事は遅く、学業はふるわず、スポーツもトロいので、いい気になるという機会そのものがあまりなかったのですが。
以前の勤務先で14歳ほど若い男性の同僚がいました。
ある日私の仕事が終わり、先に帰ろうとしたところ、
「ね、今夜お家にご飯食べに行っていい?」と言われました。
突然のことに大変驚きましたが、主人も了解してくれたので話は決まり、帰りに買い物を済ませ家で食事の支度をしていました。
するとこの同僚から電話があり、
「*時に仕事が終わってそちらに向かうことになるけど、Yちゃん(同僚女性)も一緒に行って良い?」
とのこと。
一人も二人も変わらないので了承しましたが、普段来客がないので汁椀と湯呑が足りないことに気づき、あわてて食器を買いに走りました。
夕飯に何を作ったのかを全く覚えていませんが、これが初めてお客さんに食事を作った瞬間でした。
後でどうして私の家に来てくれたのかを尋ねたら、ある分類によると私は食いしん坊だそうで、食いしん坊なら料理が上手だから、という理由を告げられました。
しかも主人までが「美味しい、美味しい」と乗せてくれるので、単純な私はそれらを鵜呑みにし、以後、何かあれば誰彼かまわず我が家へ人を招き、習ったこともない料理をふるまうようになったのでした。
最近テレビの料理番組や「プレパト」などで料理やその盛り付けのルールを見ると、自分がいかに何も知らないかに気づき、この10年近く「いい気になっていた」自分が恥ずかしくなりました。
でもそういう気持ちにさせてくれたこの同僚と主人には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
今でもこの時走って買いに行った汁椀と湯呑を見るたびに、あの時の情景が目に浮かび、とっても懐かしくなります。