命の恩人PRO TREK

TS3W0789
海外を旅していたある時、カシオの「PRO TREK」という腕時計をつけていました。
私が方向音痴なのでプレゼントされたものでしたが、正直全く方位磁石の必要性を感じたことはありませんでした。
もう詳細は忘れてしまいましたが、方位磁石以外にも高度、気圧の変化もわかる多機能で大きめの腕時計だったと思います。
ある時、とある宿で出会った白人女性ばかり4人ほどと、山の向こうにあるバーへ歩いて行こう、ということになりました。
私はお酒を飲めませんし、基本的に旅の間、日が落ちてから出かけることはありません。
でもこの時はなぜか、珍しくご一緒したのです。
多分ずっと一人旅だったので、年の近い女性たちといることが楽しかったのだと思います。
行きは夕方、まだ日がある中でワイワイおしゃべりしながら皆ピクニック気分で歩きました。
その帰りのことです。
来た道をただ帰るだけなのに、なんと私たちは山道で迷ってしまいました。
携帯電話もない時代、山の中なので完全に真っ暗で街頭もなく、もちろん車など通る道もなく、誰の助けも期待できませんでした。
空には星が輝いていましたが、星座で方向が分かるほど詳しい者もいなくて途方にくれました。
全員がことの重大さに気づいて緊張が走った時、私は自分の腕時計に気づきました。
宿、山、バーの位置関係から帰るべき方角に確信を持った私、勇気を奮って先頭に立ちます。
行くときと違ってみんな黙々と歩き続け、結果、迷うことなく無事に宿までたどり着いたのでした。
宿の光が見えた時は全員歓声をあげて喜び、私もホッと胸をなでおろしました。
この時計をしていて良かった!ということがその後も海外で1,2度はありましたね。
何度か電池を変えながら大事に使いましたが、私のために選んでくれた知人には今でも感謝しています。
ちなみに南米に行くときは、逆に狙われる原因になると聞き、あえて腕時計はつけて行きませんでした。
真相のほどは分かりませんが、南米では外国人などの目ぼしい腕時計を見つけると手首を切り落として持って行く、との噂話を聞きましたので。
今はどうなんでしょうね・・・